(4)重大事故が起きてしまえば取り返しがつかない

現在でも14万人以上の人が福島県内外で避難生活を続けています。

 

賠償金の支払いが進められていますが、

放射能汚染の影響を受け生活が激変した多くの人たちの悲しみ、苦しみ、悩みはお金で解決できるものではありません。

 

事故を起こした福島第一原発の電気は、福島県では1ワットも使われていませんでした。

全て消費地である関東、とりわけ東京で使われるためのものだったのです。

◆「30km圏内」とは、東京駅から見ると立川、柏、横浜まで含まれる。

出典:読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20110326-OYT9I00103.htm
出典:読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20110326-OYT9I00103.htm
東京駅から30km圏内

賠償・除染・廃炉には最低でも10兆円以上の費用が必要。技術的にも解決できていない問題が多い。

◆賠償

3兆2千億円(2013年2月時点)。

加害者である東京電力が賠償額を決定する仕組み。現在も額は大きくなり続けています。

◆除染

汚染エリア全体を除染することは費用的に不可能。

そもそも除染の効果自体に疑問も呈されており、どこまでをどの程度除染するのか、問題になっています。

東京電力は資金繰りが厳しくなることを恐れ除染の費用をほとんど支払っておらず、

国(環境省)が立て替えるという事態になっています。

 

避難・除染政策についての詳細は次の番組をご覧ください。

◆汚染水

原発敷地内に降った雨や地下水の流入により、毎日300トン以上の汚染水をくみ出す必要があります。

汚染水を貯めるタンクを建てていますが、保管場所に限界があるために、

ALPSという放射性物質を取り除く設備を稼働させ、海に放出させる計画です。

タンクなどから汚染水の新たな漏出が続出しています。

地下水の動き、汚染の状態は完全には分かっておらず、推測で対策を立てています。

 

以下は、2013年夏に政府が本格的に対策に乗り出す前の状況をまとめた番組です。

◆廃炉

現在は被害の激しい4号機の使用済み燃料を一本一本取りだしている状況で、

事故後3年が経過しようとしているますが、廃炉自体にはまだ手つかずです。

廃炉には通常の状態でも30年以上、300億円/基以上かかるといわれます。

福島第一原発では、溶け落ちた燃料棒の状態や場所がよく分かっていない上に、

放射線が強すぎるため近寄れず、廃炉にかかる時間は30年よりも大幅にかかると見られています。

費用もそれに応じて当然増えていくことになります。

 

次の番組は、4号機使用済み燃料棒の取り出しが始まる前の

4号機の危険性について報じたものです。

以下は燃料プールからの燃料棒取り出しについて報じています。

再度重大事故が起きればどうなるか?

福島第一原発事故の教訓は、

◆「絶対(安全)」はありえない

◆「想定外」を想定しておくことが必要

ということでした。

 

事故原因は未解明の部分を残したまま

これから対策が十分に取られない原発も含めて再稼働しようとし(※)、

加えて東南海地震などの発生が懸念される今、

当然のこととして、もし2011年のような重大事故が起きればどうなるのか想定し、

その場合の被害や影響の大きさよりも、原発を使い続けることのメリットの方が大きいと

判断されたときに初めて原発を使うという選択ができるのではないでしょうか。

そうでなければ、日本人は原発事故の教訓を生かしていないということになると思います。

 

※原子力規制委員会のとりまとめた新規制基準について、

  工事に長い時間がかかるいくつかの設備については、

  5年の猶予期間を設け、工事が完成する前でも再稼働を認めるとしています。

 

事故が起きる場所や事故の程度によって、当然状況は大きく異なってきます。

しかし、再度福島原発事故レベルの事故が起きたとすると、

現在福島で起きている程度の直接的な被害に加えて、

日本に対する国際的な信頼は地に落ちることは確実ではないでしょうか。

 

それによってもたらされることは、

・日本への投資の減少

・海外から日本への観光客の減少

・日本の物産に対する忌避感の増大⇒輸出減

 

が直接的にはあるでしょう。

また、間接的には日本への信頼感の喪失、日本経済への悪影響を懸念し、

日本企業の株価下落、日本国債の売却が進むと考えられます。

そうすると金利が上昇し、現在1000兆円以上の借金を抱える日本は、

より多くのお金を借金返済に回し、それ以外の経費を減らすか、

さらに借金を増やす必要に迫られると考えられます。

 

このようなことが想像できる背景には、福島第一原発事故の際に、

日本政府がSPEEDIなどの情報を隠し続けていたこと、

外国への説明を事前にせず放射能に汚染された水を海洋に投棄したこと、

日本のメディアでは事故の実態がきちんと報道されていなかった(※)ことなどを、

海外の人たちは忘れてはいないでしょう。

その上に再度事故が起きれば、日本は巨大技術をマネジメントする能力の無い国とみなされ、

世界から見離される可能性は少なくないと考えられます。

 

※一例として、4号機の使用済み核燃料プールの危険性は主に海外メディアによって

 報道されたことが日本に伝わり、日本でも重大問題として取り上げられるようになった。

 

最後に、新しく定められた規制基準についての不備を指摘する解説をご覧ください(「原発は安くない」の部分で紹介した動画の後半部分)。